スタートブック マンガで分かる法学(刑事訴訟法)

刑事訴訟法編 Lesson01 自首

スタートブック マンガで分かる法学(刑事訴訟法)
刑事訴訟法
刑事訴訟法01
自首
犯罪があったことが分かっていても自首になる?
刑事訴訟法 01 要点まとめノート
自首はどのような場合に成立しますか?
Q1
A 自首は、①犯罪が捜査機関に発覚する前に、②犯人が自発的に捜査機関に対して犯罪を申告して処分を委ねることによって成立します。
①の「発覚する前」とは、捜査機関が犯罪と犯人の両方を認知する前とされています。ですので、犯罪は認知されているけれども犯人が誰であるか不明な場合に犯人が犯罪の申告を捜査機関に行ったときは、「発覚する前」に当たります。
なお、犯罪と犯人の両方が認知され、犯人の所在だけ不明である場合は「発覚する前」には含まれないので(最判昭24.5.14)注意しましょう。
マンガのケースでは自首が成立しますか?
Q2
A マンガでは、犯人が誰なのか警部は分かっていないようです。警察署全体でも犯人が分かっていないとすると、捜査機関が犯人を認知する前といえ、①はクリアしそうです。
②の自発的に当たるかは難しい判断です。判例は、警察官に犯罪の疑いを掛けられて職務質問された結果、しぶしぶ犯罪を申告したような場合には自発性が認められないとしています。一方、交番の周りをうろうろしていた人物に警察官が「どうしたのですか?」と声を掛けたところ犯罪を申告したケースでは、自発性を認めているものもあります。
マンガでは、出頭のきっかけとなった声掛けや説得を行ったのは、警察官ではないゴーストであり、上記の点について問題はなさそうです。また、犯人が暴れたりすることなく警察署まで出頭して犯罪を申告しているとすれば、自発性が認められ、②もクリアしているといえるでしょう。
プラス ワンポイント教養
+OnePoint 自首のポイント
+OnePoint 自首と告訴の比較
自首には告訴・告発の方式・手続の規定が準用されるので、告訴・告発との共通点が多いのだが、自首には期間の制限がないし、取消しは認められていない。
似たような制度を勉強するときは、共通点と相違点に着目して整理するといいんだ。
警部
○×クイズ
自首が成立するためには、犯罪が捜査機関に発覚する前に犯罪を申告する必要があるところ、「発覚する前」とは、捜査機関が犯罪又は犯人を認知する前のことをいう。
警察官からの職務質問に際して種々弁解し、その後ようやく犯行を自供したような場合は自首に当たらない。
自首の受理機関は検察官と司法警察員だけであり、司法巡査は自首を受理する権限を有しない。
解答と解説
× 「又は」は誤り。「発覚する前」とは、捜査機関が犯罪と犯人の両方を認知する前のことをいい、論理的には「又は」ではなく「かつ」が正しい。
〇 最判昭29.7.16。このほか、うろうろしているところを派出所に任意同行され犯行を自供した場合(東京高判昭28.4.10)、取調べ中に「ほかに犯した罪はないか」旨の問いを受けて新たな犯行を自供した場合(東京高判昭43.4.22)も、自首に当たらない。
〇 司法警察員にだけ認められ司法巡査には認められていない権限は、刑訴法のSAで頻出テーマである。問題文の例のほかに、各種令状の請求(緊急逮捕状は除く)、逮捕被疑者の釈放又は送致、告訴・告発の受理、事件の送致・送付、押収物の処分、代行検視などがある。
スタートブック マンガで分かる法学
定価3,300円(本体3,000円)
A5 並製 224頁 2026年5月発行
直販限定。一般書店では販売しておりません。
「警察公論オンライン」で連載中の各Lessonを、紙の本でまとめて読みたい方におすすめ。
雑誌『警察公論』2025年5月号・6月号・7月号付録「マンガで分かる法学 要点まとめノート」3号分を1冊にまとめ、警部とゴーストの出会いの物語を描いた「Episode:0」を加えて単行本化した1冊です。

ご購入はこちら
https://tachibanashobo.co.jp/products/detail/4076

「2025年06月号」の他の記事を読む