テロと心理学(20)

ローンオフェンダーテロリストの分類と行動パターン(2)

テロと心理学(20)

ローンオフェンダーテロリストの分類と行動パターン(2)

法政大学教授  越智 啓太

ローンオフェンダーテロリストの分類
 従来のテロは、組織化されたテロ集団によって計画され、その集団に属し、その集団で訓練あるいは洗脳を受けた実行(ソルジャー)部隊によって実施されてきた。しかし、近年、既成のテロ集団に所属しないで、個人で勝手にテロを行うテロリストが治安上の大きな問題になっている。このようなタイプのテロリストをローンオフェンダーテロリスト、あるいはローンアクター、ローンウルフ型テロリストという。
 ローンオフェンダーテロリストにも様々なタイプが存在するが、前回(2025年9月号)はこれを3つのタイプに分類して説明した。まず、タイプ1テロリストは、イスラム過激派などのインターネットサイトや宣伝媒体によって「覚醒」し、テロリストとなるもので、背景にはアメリカやヨーロッパにおける9・11以来のイスラム系住民への偏見や移民問題などからくる民族的なアイデンティティーの危機が存在していることが多い。現在、イスラム過激派はインターネットでの広報に力を入れており、そこでは様々な民族意識を刺激するメッセージや動画、テロの具体的な方法(爆弾の作り方やターゲットの選定方法、攻撃方法など)も掲載されている。これらに感化されてテロリストになるのである。タイプ2テロリストは、イスラム過激派や左翼、右翼などの組織化されたテロ集団の思想に共鳴するのでなく、陰謀論などの特殊で偏った考えを見聞きし、勝手に覚醒して彼らなりの「正義」のためにテロを行う人々のことである。タイプ3テロリストは、従来のテロ理論や革命理論、そして陰謀論とも関係なく、自分自身が構築した理論に基づいて、「正義」のためにテロを行うものである。このタイプのテロリストは、孤立していることが多く、その結果、理論も精緻化されずに、極端化していることが多い。彼らは検挙されると「~のために正義の鉄槌を振り下ろした」というような弁明をすることが多いが、この理論の部分は理解困難な場合も少なくない。

帰属集団との関係に基づくローンオフェンダーテロリストの分類
 前記の理論は、ローンオフェンダーテロリストが依拠する理論をもとにした分類であったが、異なった観点から、ローンオフェンダーテロリストを分類している研究も少なくない。多様な分類枠組みを知ることは、彼らを理解するためには非常に有用なので、今回は、その中から、ロンドン大学キングスカレッジの、過激化と国際暴力国際研究センター(ICSR:The International Centre for the Study of Radicalisation and politicalviolence)、アソシエイトフェローのラファエロ・パントゥッチ(Raffaello Pantucci)博士による分類を紹介してみる。彼の分類は、基本的にアルカイダなどのイスラム過激派を対象とし、テロリストと組織の関係に焦点を当てたものである。

(1) 孤独者(loner)
 彼があげる、第1のローンオフェンダーテロリストのタイプは孤独者である。このタイプは、テロを行い、アルカイダなどのイスラム過激派的な主張や犯行声明を行うものの、実際にイスラム過激派集団の一員ではなく、これらの集団と接触したことも、接触を試みたこともない。その知識もインターネットによって検索された記事である。つまり、単なる過激派の「ファン」に過ぎない。彼らにとってイスラム過激派思想は、自分の犯行を「かっこつけるもの」、「いいわけ」あるいは「隠れ蓑(cover)」に過ぎない。彼らが精神疾患にかかっている可能性はない。このタイプの典型的なテロリストとして、ニコラス・ラディスとヘシャム・モハマド・アリ・ヘダトヤがいる。

【ケース研究】ニコラス・ラディス(Nicholas Raddis)
 ニコラス・ラディス(28歳)は、2008年、イギリスのサウス・ヨークシャー州のロザラムのバスに、つけひげを生やして乗り込み、車内にビニール袋に入れた爆発物状の不審物を「置き忘れた」。陸軍の爆発物処理チームが臨場し、周囲の住民を避難させた後で、検査すると、砂糖の袋、時計、ワイヤーからなるにせ爆弾であった。爆弾と一緒に発見されたメモには、非常に下手なアラビア語で、「アッラー以外に神はない。ムハンマドはアッラーの使徒である。アッラーは最も偉大である。アッラーは最も偉大である。英国は罰せられなければならない」と書かれており、「イラクのアルカイダ組織」と署名されていた。
 警察は、職場で爆弾を作ったとか所持していると自慢していたニコラスに目を付け、彼の自宅を捜索したところ、部屋からは、アルカイダ指導者アル・ザルカヴィのポスターや斬首ビデオのコレクション、爆弾の作り方についての大量の資料などが見つかった。警察は、もとはキリスト教徒だった彼がイスラム教徒に改宗し、テロリストになった、あるいは洗脳されてテロ組織のソルジャーになったと考えたが、その後の捜査で、彼は単なる「イスラム過激派のファン」にすぎず、日々の生活が退屈であり、爆弾作りにも興味があったからこの犯行を行ったものだと結論づけた。弁護側は彼が、自閉性障害(精神疾患でなく、発達障害)であった可能性についても指摘している。

【ケース研究】ヘシャム・モハマド・アリ・ヘダトヤ(Hesham Mohammed Ali Hedayat)
 ヘシャム・モハマド・アリ・ヘダトヤ(52歳)は、2002年7月4日(独立記念日であり、かつ彼の誕生日である)にロサンゼルス空港のイスラエルの国営航空会社であるエル・アル航空のカウンターで二丁の拳銃を乱射し、ナイフを振り回して、従業員1名と知人の見送りに来ていた男性の計2名を殺害し、3名を負傷させた。彼自身は、警備員に射殺された。
 アメリカ政府やFBIはこれが、パレスチナ支持派によるテロであると結論づけている。しかし、テロ研究者の多くは彼の行為はテロとは考えていない。彼は合法的な移民(エジプト系)であったが、9・11以降のアラブ系への偏見に苦しめられ、また、ユダヤ人に対する偏見ももっていた。しかし、それは、彼をこのようなテロ行為に動機づけるほど強いものではなかった。彼はイスラム過激派どころか、イスラム系コミュニティの中でも目立った存在ではなく、テロ集団との関係も連絡をとった形跡も発見できなかったのである。彼の銃乱射の直接の原因は、おそらく、彼がアメリカで経営していたリムジン送迎サービスの経営が上手くいかなくて、うつ状態になっていたこと、妻と家族がエジプトにバカンスに出かけていて誕生日にひとりで取り残され、激しい孤独感を抱いていたことなどであり、拡大した自殺のための大量殺人に過ぎないと思われた。彼がイスラエルの航空会社を狙ったのは、何らかの政治的大義があったわけではなく、単にユダヤ人が嫌いだったからである可能性が大きい。

(2) ローンウルフ(lone wolf)
 ローンウルフは、やはり単独でテロを行うテロリストであるが、彼らは、テロ組織や集団と接触しており、何らかの形での相互交流があり、そこから直接的な影響を受けている。彼らとテロ組織との関係は、直接的なものというよりは、インターネットを通じたものであり、ネットを通じて、イスラム過激派思想を学んでいる。また、ネットを通じて、テロに関する情報提供(爆弾の作り方、ターゲットの選定など)、テロへの援助などを得ている。しかしながら、テロ自体はテロ組織の命令によってソルジャーとして行われるものではなく、基本的には個々人の独断で行われている。
 彼らは、宗教的なものではなく、むしろ個人的な問題を抱えており、これがテロ組織に接近する理由である。個人的な問題とは、差別や偏見の被害、アイデンティティーの問題などである。ホームグロウンテロリストの多くはこの類型である。孤独者との違いは、単なるファンであるか(孤独者)、実際に組織や集団と接触を持っているかである。

【ケース研究】 ニッキー・ライリー(Nicky Reilly)
 ニッキー・ライリーは、2008年5月22日にイギリスのエクセター州にあるジラフカフェに灯油、洗浄剤、苛性ソーダと釘500本を用いて製作したガラス瓶6本からなる「キッチンメイドボム」を持ち込み、爆破させるためにトイレに設置しようとしたところ、誤爆し、重傷を負った。現場に到着した警察が血まみれのライリーに事情を聞いたところ、「世界中のイスラム教徒への弾圧に対する抗議」のために爆弾を爆破させ「なるべく多くの人を殺害する予定だった」と自ら供述した。彼の部屋からは、犯行声明文とオサマビンラディンについて言及した遺書が押収された。
 ニッキー・ライリーは、貧しい家庭に生まれ、母親とともに暮らしていた。学習障害とアスペルガー障害(いずれも発達障害)をもち、そのため子どもの頃からいじめの標的になっていた。彼は孤立していて、自分を受け入れてくれる集団を求めていた。その中で彼はインターネットで、イスラム過激派のグループと出会い、そこで歓迎された。イスラム過激派は、インターネットを通じて、彼を教育した。そして、彼に爆弾の作り方と使用方法を教え、彼はテロリストとなった。彼は事件直前にイスラム教に改宗し、名前もモハメド・アブドゥルアジズ・ラシッド・サイード・アリムに改名している。検挙された彼は、懲役18年の判決を受けたが、その後、刑務所内の事故で死亡した。
 彼の母親は公聴会で、彼は、発達障害のため、他人に影響されやすく脆弱であり、それを利用されて、テロリストにされたのだと主張した。

【ケース研究】ニダル・ハッサン・マリク(Nidal Malik Hasan)少佐
 陸軍少佐で精神科医のニダル・ハッサン・マリク少佐は、2009年11月15日にテキサス州のフォートフッド基地の医療施設で、銃を乱射して兵士12名、一般人1名を射殺して、32名以上を負傷させた。ハッサンは自身は陸軍文民警察(the Army Civilian Police)の警察官に撃たれ重傷を負ったが一命を取り留めた。その後、裁判では、彼は弁護人をつけず、起訴内容も全面的に認めた。軍事陪審裁判の結果、死刑が確定した。
 ハッサンは、アメリカ生まれのパレスチナ系イスラム教徒だった。彼自身は熱心なイスラム教徒であったが、成績も優秀であり、医師になり軍人となった時点では、それほど過激な思想は持ち合わせていなかった。しかし、9・11テロのあと、イスラム系住民への偏見や差別が増加し、また、アフガニスタン、イラク帰還兵の治療に当たったこともあって、次第にイスラム過激派の思想にのめり込むことになった。彼は、一時期、アルカイダの指導者、アンワル・アル・アウラキ(Anwar al-Awlaki)とメールでやりとりしていたことがあり、また、ほかのイスラム過激派との交友関係も明らかになっている。自宅からはイスラム過激派についての大量の資料が押収された。
 しかし、彼の犯行はイスラム過激派による命令によって行われたものでなく、彼は組織の直接的な支配下にはなかった。また、テロの目的も直接的に大義の下で行われたというよりも、PTSDなどをきっかけとして行われた大量殺人である可能性が大きいとアメリカ政府やFBIはみている。
 確かに、彼の行動は、過剰な武器・弾薬(FN5とS&W・357、それに3000発以上の銃弾)を携帯したり、事前に銃砲店で「市場で最も技術的に進んだ武器で、最高水準の弾倉容量を持つもの」として銃を選定したり、自ら死刑を求める点など、テロというよりは大量殺人と似た特徴を持っている。

(3) ローンウルフパック(lone wolf pack)
 ローンウルフパックは、複数のローンウルフがグループ化することである。「パック」というのはイヌや狼の群れをさす用語である。ひとりのローンウルフが友人や家族などを巻き込んでグループになるケースや同じ過激思想に感化されているものが合流してグループ化するケースがある。しかしながら、ローンウルフパックは、テロ組織の直接的な支配下に入っておらず、そのため、彼らのテロ行動は、命令によるものではない。情報交換や情報収集も基本的には仲間うちでの情報交換にとどまっている。そのため、集団力学的に、彼らの思想が極端化し、その結果としてテロ攻撃に結びつく可能性がある。

【ケース研究】ジハード・ハマドとユセフ・モハマド・エル・ハイディブ(Jihad Hamad and Youssef el Hajdib)
 2006年7月31日、ドイツのケルンの通勤電車に爆弾が置かれた。この爆弾は、ドルトムントの近くで爆発するようにセットされていたが、爆弾自体に重大な欠陥があり(使用しているガスが間違っていた)、幸いなことに爆発しなかった。もし、この爆弾が適切に作られていれば、当時、ヨーロッパ最大のテロ事件となる可能性があった。捜査の結果、ふたりのレバノン人が事件に関与していたことが分かった。ジハード・ハマドとユセフ・モハマド・エル・ハイディブである。捜査当局は、2週間後に、エル・ハイディブをキール中央駅で検挙、そのニュースを知ったジハード・ハマドは逃走先のベイルートで、レバノン当局に出頭した。
 当初、ドイツ当局は、彼らはアルカイダの一員ではないかと考えたが、それにしては、彼らの犯行手口があまりにも粗雑で、素人っぽかった。そもそも爆弾作りに失敗しているし、自分のパスポートを使って出国していること、爆弾の材料を購入した証拠が大量に残っていることなどである。これは彼らが、アルカイダやイスラム過激派組織から、指示や命令を受けていない可能性を示している。そのため、このテロ未遂事件は、ふたりがイラクのアルカイダに自分たちの価値を示し、戦闘員として加わることを許可してもらうために企んだものではないかと考えられた。

(4) ローンアタッカー(lone attacker)
 ローンアタッカーは、実際のテロ組織との関係を持つ個人で、アルカイダの中核、または関連グループの一員であり、その指揮命令下の中で、テロを引き起こす実行部隊(ソルジャー)のことである。ローンアタッカーは、いままであげた分類のローンウルフ型テロリストと異なり、単なるファンやネットでの学習、メールなどによるテロ組織メンバーとの緩いつながりではなく、対面的で、双方向、強力なつながりのもとで、テロリストとなる。彼らの中には、正式に軍事訓練を受けたものもいる。彼らが、ローンオフェンダーと呼ばれるのは、彼らがテロを行うときに物理的にひとりでいるからに過ぎない。このタイプのテロリストは数多く存在するが、典型的なテロリストとして、リチャード・リードとウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブのケースを見てみる。

【ケース研究】リチャード・リード(Richard Reid)
 リチャード・リードは、2001年12月22日、パリ発マイアミ行きのアメリカン航空63便で靴に隠した爆弾を爆発させようとして失敗し、客室乗務員と乗客らによって取り押さえられた。彼は、靴の底をくりぬいてPETN(ペンスリット:高性能爆薬)とTATP(過酸化アセトン)爆薬をつめ、それに導火線をつないでいた。TATPは、イスラム過激派がよく用いる爆薬である。彼が用いた爆薬は旅客機を墜落させるには十分な量であった。彼が取り押さえられた後、機体はボストンのローガン空港に緊急着陸し、彼はそこで検挙された。爆破に失敗したのは、リードの汗と雨天のために導火線が湿っており、彼がマッチで導火線に火を付けるのに手間取ったからであった。
 リードはもともとはグラフィティ(落書き)などの軽犯罪を行う非行少年であり、様々な矯正施設を渡り歩いてきた。1995年に刑務所を出ると彼は、立ち直るために、ブルグストン・モスクに参加する。彼はここでイスラム過激派グループのネットワークに引き込まれることになる。彼は、その後、ノース・ロンドンのフィンズベリー・パーク・モスクに通い始めるようになるが、ここは、反米聖職者アブ・ハムザ・アル・マスリが率いるモスクで、イギリスにおける、イスラム過激派の中心地であった。彼は数年後には、正式にイスラム過激派組織の一員となった。リードがイスラム過激派に取り込まれたのは、アイデンティティーの危機のさなか、自分探しの旅の中で、答えを与えてくれたのが、アルカイダだったからだと思われる。彼は、1998年にはパキスタンに渡り、アフガニスタンで軍事訓練を受けた。その後、彼には靴爆弾が与えられ自爆作戦を行うことが命令された。彼は当初、別の便に搭乗する予定だったが、あまりにもだらしない格好をしていたため、疑われ尋問を受けた。尋問が長時間にわたったため、彼は予定していた機に乗り遅れ、アメリカン航空が用意した翌日の便に乗り込むことになった。これがアメリカン航空63便であった。

【ケース研究】ウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブ(Umar Farouk Abdulmutallab)
 ウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブは、2009年12月25日、アムステルダム発デトロイト行きのノースウエスト航空253便を爆破しようとして失敗したテロリストである。彼は、着陸の20分前に、下着に縫い付けられた爆発装置に注射器から酸を注入して化学反応を引き起こし、爆発させようとした。この装置にはPETNの粉末が入っていた。しかし、化学反応が上手く起こらず、装置は破裂し、発火しただけで終わった。周囲に悪臭が立ちこめ、飛行機の内壁とアブドゥルムタラブの服が燃え上がったため、彼が飛行機に放火しようとしていると思った周囲の乗客によって取り押さえられた。飛行機は、デトロイト・メトロポリタン・ウェイン・カウンティ空港に緊急着陸した。アブドゥルムタラブは足と性器に二度のやけどを負い重傷、ほかに彼を取り押さえた乗客数名が軽いやけどを負った。
 アブドゥルムタラブは、ナイジェリアの裕福な銀行家の家庭で生まれ育った。生粋で熱心なイスラム教徒である。インターナショナルスクールを経て、ロンドン大学に進学した。彼はロンドン大学でイスラム協会の会長を務めたが、この時点でおそらく、イスラム過激派と接触したと思われる。彼の父親は彼をドバイのビジネススクールに進学させようとしたが、彼はイエメンでイスラム法を学ぶとして断った。彼がイエメンに向かったのは彼と交流のあったアラビア半島のアルカイダのアンワル・アル・アウラキがアルカイダの訓練のために送り込んだためだと考えられる。終身刑を受けて服役中である。

どのタイプのローンオフェンダーテロリストが最も危険か
 以上述べてきたローンオフェンダーテロリストの分類を提案したラファエロ・パントゥッチ博士は、これらのタイプの中でどれが最も危険で、(テロリストの側から見て)効果的なのかについて考察している。
 彼は、まず、テロ組織の組織的なサポートが得られるはずのローンアタッカーのテロ成功率がそれほど高くないことを指摘する。これはそもそも爆弾を使用するテロでは、爆発物を国際的に輸送したり、飛行機に持ち込んだりすることがかなり困難だというのが原因だと思われる。ただし、この研究のあと、多くのローンアタッカー型の自爆テロリストがテロに成功しているため、彼の見解は修正すべきかもしれない。
 彼は、最も確実に多くの人を殺すための方法は、爆弾よりも銃乱射であるとしているが、この彼の見解は興味深い。実際、テロ=爆弾というステレオタイプを持ち続けることは、危険かもしれない。彼らの目的は必ずしも爆弾を使わなくても達成できるからだ。

イスラム過激派テロの新しい形態
 この分類が提起した最も重要な点は、ローンオフェンダーという現象が、従来のテロとは大きく異なっていることを明らかにしたことにあるだろう。ここにあげられた4種類のうち、従来型のテロはローンアタッカーのみであり、ほかの3種類はいずれも孤独で社会に対して適応できなかった人々が、主にインターネットを通じて勝手に、あるいはわずかな接触によって、テロリストとして「覚醒」しているからである。このように考えると従来型の、人間関係ネットワークを通じたリクルート、軍事訓練、テロの実行といった典型的なテロリスト養成ルートを調査し、解明し、テロを阻止するというテロ対策方略はもはや時代遅れになっている可能性がある。

 (参考文献)Pantucci, R. (2011). A typology of lone wolves: Preliminary analysis of lone Islamist terrorists. London: ICSR Report