もっと知ってほしい私たちの仕事〜相互の理解と連携に向けて〜(第8回)
公安調査官
第8回 公安調査官

警察公論をご覧の皆様、はじめまして。
今回、現場の第一線で活躍されている警察官の皆様に、私たち公安調査官の仕事についてご紹介させていただく機会を頂戴しました。
公安調査官という職種や、所属する公安調査庁という組織については、警備・公安部門ではご存じの方も多いかと思いますが、どのような組織で、実際にどのような職務に従事しているのかということについては、なかなか知る機会のない方も多いかと思います。そこで、この機会をお借りして、簡単ではありますが、公安調査庁の組織と業務、公安調査官の仕事についてご案内させていただきたいと思います。警察とはまた異なる制度の下で公共の安全の確保に取り組む公安調査官という職種について、少しでも皆様のご理解をいただければ幸いです。


公安調査庁は、昭和27年(1952年)7月21日、破壊活動防止法(破防法)の施行に伴い、同法に規定する破壊的団体の規制に関する調査及び処分の請求に関する事務を一体的に遂行するために、法務省(当時は法務府)の外局として設置された行政機関です。
戦後、我が国では、暴力革命を是認する共産主義勢力やこれに同調する在日朝鮮人勢力の一部などが騒乱を惹起し、特に、日本共産党は、昭和26年(1951年)、事実上の暴力革命論と軍事方針を打ち出し、全国各地の警察署や派出所、税務署等への襲撃、放火など、暴力主義的破壊活動の疑いが持たれる急進的な活動を展開しました。また、我が国の隣、朝鮮半島では、昭和25年(1950年)6月、ソ連の後ろ盾で成立した北朝鮮の共産主義政権が韓国に侵攻、いわゆる朝鮮戦争が勃発し、激戦が続いていました。このように内外情勢が緊張する中、昭和27年(1952年)4月にサンフランシスコ講和条約が発効し、主権を回復した我が国は、公共の安全の確保に向け、同年7月、破防法を制定しました。

破防法は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行った団体に対する規制措置を規定した、いわゆる団体規制制度を定めた法律です。「暴力主義的破壊活動」に該当する行為として、破防法は、①刑法の内乱及び外患に関する罪に規定する行為と、②政治上の目的をもってする刑法の騒乱、放火、殺人、強盗等の罪に規定する行為並びにこれら行為の予備、陰謀、教唆、せん動等を規定しています(破防法4条1項)。これだけ見ると、警察の犯罪捜査と重複するような印象を受けますが、警察は、これらの行為に係る実行犯を検挙して刑事上の責任を追及するのに対し、破防法は、これらの行為が団体の活動として行われたものと認定される場合に、当該団体に対して活動の制限や解散の指定という行政処分を科すという違いがあります。
これらの処分について、破防法では、公安調査庁長官が処分を請求し、公安審査委員会が請求の審査及び決定を行う仕組みとなっています。公安審査委員会も、法務省の外局として設置されていますが、委員会を構成する委員長及び委員は、国会で両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命し、独立して職権を行使するものと定められています。
こうした破防法上の団体規制に関して必要な調査を行う職員として公安調査庁に置かれているのが、公安調査官です(公安調査庁設置法14条)。公安調査庁に所属する公安調査官は、こうした破防法上の団体規制に関して、必要な調査を行う権限を有しています(破防法27条)。
なお、平成11年(1999年)末に、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(団体規制法)が施行され、公安調査庁の所掌として、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する調査、処分の請求及び規制措置に関する事務が付加されました。
公安調査庁の組織は、公安調査庁設置法等に基づき、内部部局、地方支分部局及び施設等機関で構成されています。
このうち、内部部局は、総務部、調査第一部、調査第二部からなり、総務部は、予算、会計、人事、広報、総合調整などの事務を所掌しており、調査第一部は、主に国内関連情報の分析を、調査第二部は、主に国外関連情報の分析を担当しています。後に取り上げる、いわゆるオウム真理教に対する規制に関する事務は、調査第一部の所掌となっています。また、地方支分部局としては、全国8か所に公安調査局を、14か所に公安調査事務所を設置しています。さらに、施設等機関としては、公安調査庁研修所があります。
