職務質問のすゝめ Unlimited ~心を燃やせ! 自分ではない誰かのために~(第2回)

職務質問のすゝめ Unlimited ~心を燃やせ! 自分ではない誰かのために~(第2回)
神奈川県警察地域部地域総務課
警察庁指定広域技能指導官(職務質問)
德永とくなが 裕之ひろゆき
心を燃やす職務質問の基本
パワード・スーツ

    本誌を愛読されている方の中には、警察官として初めて制服に袖を通してから久しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も遠い昔、警察学校で制服を着たときの感動は忘れていません。残念ながら、警察官を辞した今は、制服を着ることはできませんが、皆さんはどうですか。当たり前ですが、制服も着慣れてしまうと、ロッカールームで着替える際に、いちいち特別の感情は湧かないと思います。「まだ、汗臭くないから、もう1回このまま着ようかな?」と言ったところですかね……。

    そんな体の一部となった感のある制服ですが、街中で一般の人が見掛ければ、「あっ、警察官だ。何かあったのかな?」「こんな時間でもパトロールしているのか……」などと思うものです。誰が見ても、警察官であることが一目瞭然ですよね。実は、この制服こそが「パワード・スーツ」なのです。

    今日は天気も良く、絶好のドライブ日和。休日なので、気の合う友達と、景色の良い海岸線を、お気に入りのBGMを聴きながら、今まさにドライブ中です。前方の信号が赤に変わったので停車したところ、隣の車線にも赤信号で止まった車があることに気付きました。何気に横を見ると、意外にもパトカーです。警察官である自分は、ごく自然に「知り合いかな?」と思い、乗車している警察官を見ますが、知らない人だったので前を向き、信号が変わるのを待つことにしました。

    その時、パトカーの助手席ドアが開き、警察官が降りてきたのに気付きます。その警察官はこちらを見ながら、窓を開けるように言っています。もし、皆さんでしたらどう感じますか? 「何?」「ベルトをしているし、スマホいじっていないし……」「スピード違反?」等々、一抹の不安がよぎると思います。
 私たち警察官でさえ、そう思うのですから、何か違法なことをしているやからであれば、どう反応するでしょうか。間違いなく、警察官がパトカーから降車しながら声を掛けた瞬間、赤信号であってもアクセル全開で逃走するはずです。

    この話は、逃走車両にどう対処するかというものではありません。私がお伝えしたいのは、不審者や犯罪者は、それだけ制服の警察官に職務質問されることを恐れているということです。
 ただ交番の前で立番しているだけ、ただパトカーで警らしているだけでは、視界に入った相手が不審者か否かを見抜くのは難しいでしょう。皆さんの「声を掛ける」「相手に近づく」といったアクションが、相手の不審なリアクションを惹起じゃっきさせることになるのです。
 私たちが着慣れた「パワード・スーツ」の威力を遺憾なく発揮するためにも、「おやっ?」と感じた瞬間に、間髪入れずに一歩踏み出してみましょう。

 

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