鳥獣保護管理法の一部改正を踏まえた警察の対応について(上)
鳥獣保護管理法の一部改正を踏まえた警察の対応について(上)
令和7年4月18日、第217回国会(通常国会)において、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第28号。以下「改正法」という。)が成立し、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号。以下「鳥獣保護管理法」という。)が改正され、令和7年9月1日から施行された。
本稿では、改正法の趣旨及び改正法を踏まえた警察の対応について概説することとする。本文中意見にわたる部分は筆者の私見であることを申し添える。
近年、ヒグマ及びツキノワグマ、イノシシの人の生活圏への侵入が相次ぎ、人身被害が多く発生している。大型獣の人の生活圏への侵入については、これまで、鳥獣保護管理法において、住居が集合している地域又は広場、駅その他の多数の者の集合する場所(以下「住居集合地域等」という。)での銃猟が禁じられてきたところ、現実・具体的に危険が生じ特に急を要する状況で、住居集合地域等で銃器を使用した鳥獣の捕獲等が必要となる場合には、警察官が、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)第4条第1項に基づき、ハンターに発射を命令したり、刑法(明治40年法律第45号)第37条の緊急避難に該当するとして、ハンターの判断により猟銃等を発射したりすることにより対応してきた。
他方で、こうした状況ではない膠着状態にある場合においても、より予防的かつ迅速に対処することが求められることから、改正法により、市町村長が、地域住民の安全確保のための措置を十分に講じた上で、特に人身被害を生じさせるおそれの高いクマ等について、住居集合地域等よりも広い概念である人の日常生活圏での銃猟をすることを可能とする制度(緊急銃猟制度)が創設された。