捜査のリアルを法学で武装せよ:元県警刑事部長が説く「最短ルート」の刑事訴訟法
Section02 捜査の主体②(特別司法警察職員と検察官)
Section 02
捜査の主体②
(特別司法警察職員と検察官)
(特別司法警察職員と検察官)
前Sectionの振り返り
Section01では、捜査の主体として「一般司法警察職員」を扱いました。刑訴法では、警察官を「一般司法警察職員」といいますので、大事な言葉です。そして、もう一つ大事なことは、これが「司法警察員」と「司法巡査」に区別されるということでしたね。
Section02では、別の捜査の主体である「特別司法警察職員」と「検察官」を扱います。
Section02では、別の捜査の主体である「特別司法警察職員」と「検察官」を扱います。
1 特別司法警察職員
第190条(特別司法警察職員)
森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。
特別司法警察職員とは、警察官、検察官のほかに犯罪捜査の権限を与えられている者です。専門的知識を必要とするため、あるいは特別な場所、施設内での犯罪であるため、特定の事項に限って捜査の権限が与えられています。その種類や職務の範囲については、司法警察職員等指定応急措置法や個別の法律によって定められています。
次が主な特別司法警察職員です。
次が主な特別司法警察職員です。

例えば、“麻薬Gメン”、“マトリ”と呼ばれる麻薬取締官。厚生労働省の職員で、麻薬及び向精神薬取締法54条により、覚醒剤や大麻などの違法薬物の取締りに従事します。
特別司法警察職員は、法律で定められた犯罪に関する限りは、逮捕・取調べ等について警察官と同じ権限が与えられています。警察官の捜査権限がどのような事件にも及ぶ一般的な権限であることから、例えば、違法薬物の捜査について警察官と麻薬取締官の捜査が競合する場面があります。このようなケースに関し、警察官と特別司法警察職員の捜査権限の調整を図り、協力関係を緊密なものとするため、関係機関との間で「協定」(注)が結ばれています。
(注)
例えば、「警察庁と厚生労働省との麻薬、覚醒剤に関する犯罪捜査に関する協定」、「警察庁と海上保安庁との犯罪捜査に関する協定」などがある。
2 検察官
第191条(検察官・検察事務官)
1 検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。
2 検察事務官は、検察官の指揮を受け、捜査をしなければならない。
(1) 検察官と検察事務官
検察官は、捜査権、公訴権などの権限を有する一定の資格を持った法律専門家で、検察庁という全国的に統一された組織(注)の中で活動しています。検事総長、次長検事、検事長、検事、副検事の総称です。
検察官は、捜査権、公訴権などの権限を有する一定の資格を持った法律専門家で、検察庁という全国的に統一された組織(注)の中で活動しています。検事総長、次長検事、検事長、検事、副検事の総称です。
検察官は、それぞれが検察権を有し(独任制の官庁)、これを補佐するのが検察事務官です。法務大臣は、当分の間、検察官が足りないため必要と認めるときは、区検察庁の検察事務官にその庁の検察官の事務を取り扱わせることができます(検察庁法附則2条)。これを検察官事務取扱検察事務官といい、検察官の職権を行使することができます(その範囲は、区検察庁の事務に限定される。)。
(注)
検察庁には、裁判所に対応して、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁があり、それぞれの組織の長の職名は、検事総長、検事長、検事正、上席検察官である。
(2) 検察官の捜査機関としての役割
検察官は、警察等の第一次捜査機関が捜査して検察庁に送致する事件以外に、自ら事件を認知し、一から証拠を収集し、事件として立件することができます(刑訴法191条1項)。いわゆる独自捜査と呼ばれるもので、政治家や公務員による汚職事件、法律や経済について高度な知識を要する企業犯罪などがその典型例です。
検察事務官は、検察官の指揮を受けて捜査を行います(刑訴法191条2項)。
検察官は、警察等の第一次捜査機関が捜査して検察庁に送致する事件以外に、自ら事件を認知し、一から証拠を収集し、事件として立件することができます(刑訴法191条1項)。いわゆる独自捜査と呼ばれるもので、政治家や公務員による汚職事件、法律や経済について高度な知識を要する企業犯罪などがその典型例です。
検察事務官は、検察官の指揮を受けて捜査を行います(刑訴法191条2項)。
著者プロフィール
一瀨 裕文
1959年、福岡県生まれ。佐賀大学卒業後、福岡県警察官を拝命。
九州管区警察学校刑事教官、久留米警察署刑事管理官、警察庁出向(暴力団対策課課長補佐)、監察官などを経て、宗像警察署長、組織犯罪対策課長、暴力団対策部副部長、博多警察署長、生活安全部長、刑事部長などを歴任。2019年3月、退職。
ロングセラー「要点整理 捜査手続法」や「擬律判断の手引」の執筆に関わる。退職後、「気づきの付箋 警察実務の不易流行」(春吉書房、2019年)及び「はじめての刑法 ウォーミングアップ総論・各論」(春吉書房、2023年)を著す。
九州管区警察学校刑事教官、久留米警察署刑事管理官、警察庁出向(暴力団対策課課長補佐)、監察官などを経て、宗像警察署長、組織犯罪対策課長、暴力団対策部副部長、博多警察署長、生活安全部長、刑事部長などを歴任。2019年3月、退職。
ロングセラー「要点整理 捜査手続法」や「擬律判断の手引」の執筆に関わる。退職後、「気づきの付箋 警察実務の不易流行」(春吉書房、2019年)及び「はじめての刑法 ウォーミングアップ総論・各論」(春吉書房、2023年)を著す。
ご質問募集!
著者(元県警刑事部長)が、
あなたの質問にお答えします。
下記フォームから
お気軽にお送りください。
あなたの質問にお答えします。
下記フォームから
お気軽にお送りください。